吉澤

 ありがとうございました。

 きょうはまだまだ発表させてくれという方がたくさんいらっしゃると思うんですが、時間がちょっとありませんで、そろそろこちらの舞台のほうにマイクを返させていただきたいと思います。

 そうしましたら、先ほど4人の方々にずっと御発言いただきました。非常に短い時間だったんですが、あのとき言い残したこと、それから京都創生に関して今会場のいろんな御意見も出ましたけれども、それを受けて、片山さんからお願い致します。

片山

 私は能のこと以外は本当に余り知らないんですけれども、京都が日本の財産という具合に言われるのであれば、私らは能役者ですけれども、その他いろんな御職業の京都にいらっしゃる皆さんも、どんなことでもこういうものをつまり日本の財産と実際思われるのであれば、守るべきところは守らなしょうがないのやないか。例えば僕が非常に気になるのは、ここにお寺さんがいらっしゃったらごめんなさい、近頃ライトアップというのがはやっていますでしょう。やっぱり木かて夜は眠たいだろうと私は思う。うっそうとした暗さというものがやっぱり夜の一つの京都の景観、そやから灯ぐらいはええけれども、ライトアップまでしてというのは、そんなしてまで人集めんならんかと、そういうことが京都にお客を呼ぶ一つの手になるのやったら、それは町中だけでやめといてほしいなと。全然能に関係ありませんけれども、そういうことを思います。

吉澤

 ありがとうございます。そしたら、杉浦さん、お願いします。

杉浦

 先ほどえらそうなことを言っておりましたが、京都創生どうのこうのというのは、我が町で手一杯でやってきたんですが、結局よく考えますと、誰かが何かをやってくれるのやなしに、京都には、150万ほどの人間がおりますが、一人一人の人間が、市民が自分のまちをどないするのや、自分の土地はどないするのやということをまじめに考えていく、よそのところまでかまいに行くよりまず自分の町内をどないするのやというところからまず関心をお互いに持ち合う、お互いにつき合いしだす、それがすなわち町内の自治というものでありますし、そういったものを抜きにして一足飛びに京都の町をどないしようとか、隣の人のところをどないするのやとか、どこかが面白いから見に行こうとか、そんな浮ついたことで京都がよくなると私は一切思っておりません。

 明治天皇さんが「ちょっと行ってくるわな」と言われて東京へ行かれて早や138年になりました。遷都令はまだ出ていないと聞いておりますので、法律上はまだ京都が首都であると勝手に私は思っておりますが、しかし実際、天皇さんがいらっしゃいませんので、首都でありながら首都でない、京都であって京都でないというけったいな町になってしまって、大変残念なことであります。しかし我々は、必ずいつかは天皇さんは帰ってみえるのや、そういう気持ちで頑張る。これが京都の町をつくっていく一番基本やと思っています。

吉澤

 本当に京都人の本心をズバッと言っていただいて、ありがとうございます。まさにそのとおりだと思います。では、新木さん、お願い致します。

新木

 もう一つよく理解しないままここへ座っておりまして、自分らの活動を宣伝する場所というようなことを思っていなかったもので、むしろ私は京都の景観や文化をどうして守っていくのかということを言いたかったわけなので、それでちょっと話を短くするために一つの例を申しますが、皆さんが町中をお歩きになっていて、道端に、通り道に大きな木が1本ポンとあります。通行するのにじゃまになるはずなんで、周辺から切れ切れという場面に出くわされたようなことがおありやろうと思いますが、それが残っていくということが京都なので、それはなぜやろうかということをお考えいただいて、周辺の歴史を守ること、文化を守ることがそこから始まっているということをもう一遍お住まいの周りを見渡していただきたいと思うのが私のお願いでございます。

吉澤

 ありがとうございました。では、最後になりますが、上村さん、お願いします。

上村

 京都人は京都の町は自分たちで守るという本当にその気概はすばらしいですし、そういう方々が多いのは本当に誇らしいんですけれども、半面また今日本は中央集権国家で、残念ながら全部我々の税金も含めて一たん東京に集められて、それがもう一度再配分されるという、そういう仕組みをとっております。これも事実でございます。その中で私はちょっと京都はわりを食っているんじゃないかな。もう少しさっきも言いましたように国家戦略として京都位置付けてビシッと国がもっともっと重点投資をしてくれる、重点投資するべきだと私は思っております。京都人の誇りプラスそういった国への要望というのはこれからもずっと京都創生フォーラムを通じて日本中の京都を愛する人たちと中央の国の方たちにお願いをしていきたいと思っております。
 やはり京都人が自分で自分のことをべっぴんさんやと言ったのではダメなのでございまして、やっぱり、よその人が京都はべっぴんさんの都市やからきれいにお化粧もしてほしいし、きれいな着物もいつまでも着てスッとしていてほしい。それにはお化粧代も要りますし、着物代も要りますし、それをどう捻出するのです。それを発展的に考えていきたいなと思います。

吉澤

 ありがとうございました。
 今日はパネリストで上がっていただいた先生方の御活動も京都の方にしてみたらごく当たり前のように新聞やテレビで拝見するので身近なものなんですが、実は一歩引いてみましたら全国的に見ましても非常に全国に誇る先駆的な取組ばっかりでございまして、現代の町衆パワーここにありという気が致します。京都のこれまでの基本は町衆がまずやって、できないところは行政や国が支援していくということをやってきたと思います。町衆のパワーと行政という車の両輪がうまく稼働して初めて京都の明るい未来が切り開けていくという気がしてなりません。

 今日は本当に長時間になりましたけれども、ありがとうございました。これからも皆さんと一緒に京都創生に頑張っていただきたいと思います。どうも今日は長時間ありがとうございました。

司会

 吉澤さん、パネリストの皆様、ありがとうございました。今一度大きな拍手をお願い致します。それでは、本日のフォーラムの結びに当たり、宣言の提案を行いたいと思います。本宣言は、京都創生推進フォーラムの運営委員会で取りまとめました。オープニングで琴を演奏いただいた野田友紀さんから、読み上げさせていただきます。野田さん、よろしくお願いします。

野田友

光り輝く歴史都市・京都創生宣言

 日本の歴史や文化が集積された千二百年の都・京都は、日本の財産であり、世界の宝です。私たちは京都人であることに誇りを持って、私たち自らが、この京都に、景観、文化、観光の三つの大輪の花を咲かせ、光り輝く歴史都市・京都を創生することを宣言します。

景 観

 私たちは、京都ならではの自然や町並み、建物を保全・再生し、美観を損ねる看板や放置自転車などをなくすことで、美しい景観を持つまちの創生に努めます。

文 化

 私たちは、京都で生まれ、育まれてきた多様な伝統文化を守り、継承し、自らも文化芸術に触れ、実践することで、日本文化が息づくまちの創生に努めます。

観 光

 私たちは、京都の歴史的な価値や新たな魅力を創造・発信し、京都を訪れる人を暖かく迎えることで、世界の人々が自由に集い交流するまちの創生に努めます。

平成17年11月9日

京都創生推進フォーラム代表 村田 純一

司会

 ただ今、宣言が提案されました。さて、この宣言を本日、京都創生フォーラムに集まった私たちが、今後取り組むべき目標としていきたいと考えますが皆様、いかがでしょうか。御賛同いただけるようでございましたら拍手をお願い致します。

〈拍手〉

 ありがとうございます。
 京都創生推進フォーラムでは、今後、本宣言を私たちの目標として掲げ、私たちが自主的に取組を進めていくことを誓いたいと思います。
 それでは、京都創生推進フォーラム「京都の文化を未来へ、そして世界へ〜市民が拓く京都創生」をこれにて終了したいと思います。皆さま長時間にわたりお付き合いいただき本当にありがとうございました。
 多くの出演の皆様、そして客席の皆様の御様子を伺っておりますと、ほんまに京都はええとこやなあと、しみじみ感じた次第でございます。そして、京都に住む人みんないい人。人が町をつくり、またその町は人を育てる。ほんとにいい人を育てるんだというような気持ちを感じた次第でございます。本当に今日はお忙しい中御参加いただきましてありがとうございました。

〈拍手〉

 ただ今の本宣言を出口でお渡しいたします。皆さまどうぞお気を付けてお忘れ物なきようお帰りくださいませ。ありがとうございました。

(了)

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