第1部
琴演奏:野田弥生、野田友紀【曲名「さらし風手事」作曲:宮城道雄】
司会
京都市芸術文化協会評議員 平林朋宗(司会)

 ありがとうございました。琴の演奏は、京都芸術文化協会評議員で清琴会代表の野田弥生さんと友紀さん、曲は宮城道雄作曲「さらし風手事」でした。
 さて、本日は、京都創生推進フォーラムと京都市の主催、京都創生百人委員会後援による、京都創生推進フォーラム「京都の文化を未来へ、そして世界へ〜市民が拓く京都創生」に御来場を賜り誠にありがとうございます。
 私は本日の司会を担当致します京都市芸術文化協会評議員で月輪未生流の平林朋宗です。それでは、ただ今より京都創生推進フォーラム「京都の文化を未来へ、そして世界へ〜市民が拓く京都創生」を開催致します。登壇者の皆さん、御入場ください。

 それでは、登壇者を紹介します。
京都創生推進フォーラム代表の村田純一京都商工会議所会頭(1枚目右端)
副代表の桝本ョ兼京都市長(2枚目左端)
顧問の山田啓二京都府知事の代理の佐村知子副知事(1枚目右から2人目)
京都経済同友会の渡部隆夫代表幹事(2枚目左から2人目)
京都市観光協会の道端進会長(1枚目真ん中)
京都市景観まちづくりセンターの三村浩史理事(2枚目真ん中)
京都市芸術文化協会の上平貢理事長(1枚目左から2人目)
京都新聞社の増田正蔵会長兼社長(2枚目右から2人目)
大学コンソーシアム京都の佐々木嬉代三運営委員長(1枚目左端)
平安建都千二百年記念協会の岡部弘専務理事(2枚目右端)です。

 始めにフォーラムを代表致しまして、村田純一代表より御挨拶を申し上げます。

あいさつ:京都創生推進フォーラム代表 村田純一

 開会にあたりましてご挨拶を申し上げます。
 本日は、京都市と京都創生推進フォーラムが共同で主催する本シンポジウムに、大勢お集まりいただきまして、誠に有難うございます。
 京都は、周囲に緑濃い山と豊かな自然があり、その中を流れる鴨川には鮎が棲む街でありながら、147万人もの人が住む大都会です。水がきれいなことは人間にとって大切なことですが、これほど恵まれた都市は世界でも多くないと思います。この美しい自然環境の中に、社寺仏閣が点在し、多彩な伝統芸能、美術工芸品が暮らしの中に息づいています。また一方では、世界の先端を行くハイテク産業や伝統産業に代表されるものづくり産業の都市でもあります。このように美しい自然、環境、優れた文化、学術、技術が共存する都市は、世界でも類を見ないものと自負しています。

 古来、日本人は美しい自然を愛し、そこから育まれた豊かな感性を備えた慎み深い、心の綺麗な民族でした。しかし明治維新後、近代国家の建設と国力の充実を目指して、とりわけ戦後においては、経済復興の旗印のもとに、東京を中心に効率を最優先にした国づくりや国策が進められ、日本人が誇るべき美徳は薄れてしまいました。また、いわゆる「戦後民主主義」の名のもとに、個人の権利が声高く主張され、個人の利便性や利益を求めた建物、街並みが日本中で造られました。その結果、我々の先人たちが築いてきた美しい街並みや都市景観が破壊され、日本のあらゆる都市が醜くなってしまいました。私たちの京都も例外ではありません。

 桝本京都市長におかれましては、この京都の景観や文化の現状に大いに危機感を持たれ、京都創生の必要性を打ち出されました。そして私たち市民も一体となって協力し、街全体で取り組むために、本年6月に「京都創生推進フォーラム」を設立したところです。京都市、京都府の行政はもちろん、経済、文化、学術、景観等、広範な分野の団体や企業、そして多くの市民の皆様のご賛同とご参画をいただき、450を超える会員の御登録を頂戴するに至っています。大変有難いと思っております。

 美しい自然と歴史が溶け合って育まれた京都を創生することは、言い換えれば日本人の誇れるものは何か、日本の良い所は何かということをしっかりと見つめ直し、そして確かな自信を持って出直すことではないかと思います。
 この後にありますシンポジウムでは、自らの手で京都を創生していく先駆的なお取組みを紹介するとともに、京都創生の必要性について、誇りを持ってともに考え、再認識する機会になればと願っています。本日のフォーラムを契機に、さらに京都創生への機運が高まり、活動の輪が広がることを心から祈念いたしまして、開会のご挨拶とさせていただきます。本日は誠に有難うございました。

司会

 村田代表ありがとうございました。
 代わりまして、もう一つの主催者であります京都市を代表致しまして、桝本ョ兼京都市長より御挨拶を申し上げます。

あいさつ:京都市長 桝本ョ兼

 皆様こんにちは。今日はこのようにたくさんの皆様方の御出席を賜りました。本当にありがたく、皆様方お一人お一人に心から感謝申し上げたいと存じます。
 それでは、147万人の京都市民になり代わりまして御挨拶を申し上げます。

 京の町が紅く色づいた木々に彩られ、天高く澄み切った青空が一層の美しさを引き立てる季節となりました。京都が一番美しい時であり、京都に住んでいてよかったなあと実感する頃でございます。
 自然景観の美しさだけでなく、町を美しくするために京都市では具体的に8つの政策を実施し、違反広告ビラを年間60万枚剥がし、不法対策チームによりまして不法投棄は大きく減少致しました。放置自転車も年間6万9000台撤去し、また、ここにもたくさんいらっしゃいますが、市民の皆様の尊い奉仕活動によりまして年間延べ13万人の市民の皆様が町の美化一斉活動に取り組んでいただくなど、京都の町は、私は目に見えて、少しずつではありますが、美しくなりつつあると感じております。こうした努力を積み重ねる中で、本日のフォーラム開催に当たりましては、村田純一京都商工会議所会頭をはじめ御尽力をいただきました皆様、また、大変お忙しいにもかかわりませず、京都創生の趣旨に賛同し御参集賜りました皆様方に心から厚く御礼を申し上げたいと存じます。

 1200年を超える悠久の歴史と文化が息づき、山紫水明の自然と美しい都市景観を誇る歴史都市・京都は日本国民共有の財産であり、世界の宝であります。京都市ではこれまでから市民の皆様と一緒になり、京都の魅力を守るために努力を重ねて参りました。しかし、近年、世界規模で進むグローバル化等の影響により、このままでは京都の美しい景観や伝統文化が失われてしまい、先人が培ってきた歴史・文化が消滅してしまうという転換期とも言うべき、誠に厳しい状況に直面致しております。
 この京都の自然や景観、伝統文化を日本の歴史・文化の象徴として守り育て、未来に引き継ぎ、世界に向けて発信するために、平成15年6月に、文化勲章を受章されました梅原猛先生を座長とする「京都創生懇談会」から国家戦略としての京都創生の提言をいただきました。この提言を実現するため、京都市では昨年10月に「京都創生策(案)」を策定し、国家戦略として取り組んでいただくよう国に働き掛けるとともに、独自の取組として、景観・文化・観光の3分野で今日まで精力的に取組を進めて参っております。

 まず、景観に関しましては、本年7月に「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」を設置し、50年後、100年後も見据えて、建築物の高さやデザイン、屋外広告物の規制など京都にふさわしい景観を保全し創造するための具体的な政策を実行し、全国をリードしたいと考えております。
 次に、文化に関しましては、文化芸術都市京都の創生を図るため、京都市文化芸術振興条例の策定作業にただ今取り組んでおります。
 また、観光に関する取組と致しましては、観光客5000万人の実現を目指して、「新京都市観光振興推進計画」の策定に向け取組を進めております。5000万人観光客の目標期間は10年間でございましたが、4年目にして4554万人となり、経済波及効果は1兆円を超す勢いとなって参りました。
 一方国政レベルにおきましても、地元選出国会議員の皆様の力強い御支援の下、本年5月には自由民主党、公明党の100名を超える国会議員の先生方により、また、本年6月には民主党の40名を超える国会議員の先生方により議員連盟が設立され、活動を開始していただいております。誠に心強い限りでございます。
 しかしながら、京都創生を実現するための真の担い手は京都を愛する市民の皆様でございます。市民お一人お一人が京都の持つ価値を認識し、これを守り、未来へ引き継ぐための行動を起こさなければ京都創生は実現できません。

 この京都創生推進フォーラムは、京都の様々な分野におけるリーダーの皆様方が集い、自らが積極的に取り組み、世界に誇る京都を創り上げるために、本年6月に設立されました。これまで多くの皆様にこの趣旨に御賛同いただき、会員数は団体・個人等合わせて450に上っております。本日は京都創生の実現に向けた取組を御報告いただき、お集まりの皆様が一層の交流を深めることで、この連帯の輪がより大きく広がっていくことを御期待申し上げたいと存じます。国際化が進む中で、「日本とは何か」が問われている今こそ、日本文化の象徴の地・京都がその役割を果たす時であると確信致しております。

 結びに、京都創生の実現に向けまして、今後とも皆様と御一緒に全力を傾注し、また、京都市議会の議員の先生方と一体となり、京都府山田啓二知事さんとも府・市連携を強化し、しっかりとした取組を進めることを表明致しまして、私の御挨拶とさせていただきます。本日は本当にありがとうございました。

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