講演1 :「身近な京都〜お客様へのおもてなしを通じて〜」
横 山

  この世界は間違いなく競争の世界になっています。生まれた時から私達はたぶん競争してるのだと思います。良いかどうかは別としても,社会はそうあるので,私たちもあなたの競合はどこですかと聞かれたら,ウェスティンホテルでありグランビアホテルでありオークラホテルであり,ブライトンホテルとこたえます。そうした競争の社会であることは確かです。でもその中で見失ってはいけないものがあるのも確かです。同時に競争の社会であるからこそ,海外からもっと京都にお客さんを呼ぶことができるのかなと思います。私は勝手に思っていますが,ディズニーランドのあるところとか,パリやニューヨークなどとも絶対に京都は対等に競合できると思います。例えば,ニューヨークや東京にお越しになられたお客さんに提供しているおもてなし,あるいは町というのは,たぶんパリでもロンドンでもどこでもあると思います。時間の忙しさ,人の多さ,物の多さ,緊張感。そんなものはどこの町にでもあると思う。でも,京都が持っているものはたぶんどこの町まちにもないのではないでしょうか。確かに西洋の石の文化,石畳が豊かであったりいろんなものがあると思いますが,京都のこの四季の豊かさや自然の豊かさ,文化の豊かさ,人の豊かさは絶対に他の都市と競合ができて,他の都市を間違いなく追い越すことが出来ると思います。ただそれにはまだ情報が足りていないところがあると思います。それには皆さんの知恵,知識を一つに大きくまとめて,この京都から発信していくことができれば。そのためには,ひとつには私たちが一つの入り口になって,そういう情報をどんどん提供していくことができればいいなと思います。本当にこれだけ豊かな知識のある京都で私たちがホテルを運営させていただくこと,ましては法住寺殿の跡であって,明治時代にはあそこは賀陽宮邸があったところであって,発掘したときには平安時代の武士の兜が出てきたり,それだけの歴史のあるところです。だからこそあんなに良い環境を残していただけました。私もあの場所でホテルを運営していいのかな,とたまに思うことがあると思います。ありがたいことに,26年前にあそこに太閤石を使ったお庭を造っていただいて,それが残っていることも良いことだと思います。私達はそれをこれから10年,20年,そして50年と,そこに苔がしっかりとむすまで,また,白河洲が真っ白に残るように手入れを続けていかなければいけない。それがホテルとしての一つの役割ではないかと思っています。同時に,いろんなところから知識を集めて,それを大きな知恵として海外に提供していくことが必要ではないかなと思います。

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