講演1 :「身近な京都〜お客様へのおもてなしを通じて〜」
横 山

  当時は,こう言うと失礼ですが,ベルトコンベア式に,1日チェックインが500件あるとして,ホテルの人間が10人いたとすると,私たちにしたら50分の1の分担をやってるわけです。毎日,チェックイン,チェックイン,チェックイン。結婚式も婚礼,婚礼,婚礼。物を扱うように,ベルトコンベア式にどんどんやっていきました。そこで考えなければならないのは,確かに私たちにとっては50分の1のチェックインかもしれないけれど,お客さまにしてみれば私たちは1(ひとつ)なんです。ヒルトンとかハイアットの名前をしょっている1として私たちを見ていらっしゃる。そんなことをその頃少しずつ思うようになっていました。ただ,1日の流れの中でどんどん仕事をこなしていかなければならない自分がいるのも確かでありました。そういった中で,先ほど申し上げましたように,1993年に新宿のパークタワーというところにホテルができました。178室のホテルです。そこで一緒にやらないかと言われまして,ハイアットに行くことを決めました。初めは500室のホテルのフロント支配人とかいう生意気なことをやっておりましたので,今さら178室になんか行けるかと思ってたんですが,よくよく話を聞いてみると,先ほどの50分の1じゃなくて,「1」のサービスをしようということなんです。後ほどまた,皆さんとお話をしたいのですが,サービスとホスピタリティというのは違いがあるんじゃないかな,ということを感じています。英語でホスピタリティ,ホスピタル,ホテルというのは全部語源が同じです。サービスとホスピタリティという二極化しているものを,私もいろいろ考えるようになりまして,それで,1994年,パーク ハイアット 東京を開業しました。ここは本当にブティックホテルの先駆けということで,こじんまりして,マスマーケティングというよりは本当に絞ったニッチのマーケットを探していこうよ, というところでした。客室単価をどれだけ頑張ろうか。その頃東京のホテルの客室単価というのは,まだ1〜2万円弱ぐらいのものでした。ニューヨークでは300〜400ドル,ロンドンもパリも同じ。当時,私たちの合言葉は「グローバライズしようよ」。日本ももっとグローバライズしないといけないんだ,ということが目標でありました。客室単価を3万円4万円にもっていこう。そのくらいの価値をもって私たちはおもてなしを提供しよう。そうすることによって,従業員の生活,環境ももっと変わっていくんじゃないか。そんなことをよく話をしていました。

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