司会

 ただ今より、京都創生推進フォーラム設立総会を開催致します。
 本日は、御多忙の中、多数の皆様が、京都創生推進フォーラムの設立総会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、本日の司会及び総会で代表が選出されるまで、会の進行を勤めさせていただきます、京都創生推進フォーラム設立準備会の事務局を致しております平安建都千二百年記念協会事務局長の湯浅でございます。
 それでは開会に当たりまして、本フォーラムの設立発起人を代表して、平成15年の「国家戦略としての京都創生の提言」以来、積極的な京都創生の取組を進めて参られました、桝本ョ兼京都市長から一言御挨拶をお願い致します。

開会あいさつ:京都市長 桝本ョ兼

 御礼とお願いの御挨拶を申し上げます。
 三山が雨露に濡れて青く輝き、あじさいが京都の梅雨空を華やかにする季節になりました。本日は、大変お忙しい中、京都創生推進フォーラム設立総会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 村田純一京都商工会議所会頭をはじめ、本日のフォーラム設立に向けて御尽力をいただきました皆様、また、私たちの呼び掛けに応じ、京都創生の趣意に御賛同いただきました皆様と御一緒に、この日を迎えることができましたことに対し、心から感謝申し上げます。
 千二百年を超える悠久の歴史と文化が息づき、山紫水明の自然と美しい都市景観を誇る歴史都市・京都は、日本国民共有の財産であり、世界の宝であります。
 我々京都人は、はるか平安京の時代から今日まで、我がまち・京都を守り育てるために、懸命の努力を重ねて参りました。
 京都市におきましても、例えば景観で申しますと、全国の8割に相当する約2千ヘクタールに及ぶ美観地区指定による高さ・デザインの規制や、他都市にない、京都市独自の条例に基づく歴史的な町並みの保全・再生の取組など、様々な努力を重ねて参ったわけでございます。
 しかしながら、これらの努力にもかかわらず、経済発展を第一に置いた我が国の社会システムや生活様式の変化により、京都の景観や文化は、今や、ある意味で危機的な状況に立たされております。およそ2万8千軒あった京町家は、この7年間で13パーセントも減少し、伝統文化や伝統産業も後継者難などの多くの課題を抱えております。
 こうした課題を解決するためには、国の理解が必要です。景観の保全、再生や文化財の保護を進めるには、国の財政的措置が是非とも必要ですし、伝統的な工法で町家を改築あるいは建築するためには、建築基準法を改正する等の法的な整備を進めていただく必要があります。それは、京都が日本国民の財産であり、世界の宝であるからであり、この京都を、国家戦略として守り活用することが、21世紀の国際社会で、我が国が存在感を示すためにも、不可欠であるからであります。
 京都市におきましては、平成15年6月に梅原猛先生を座長とする京都創生懇談会から「国家戦略としての京都創生の提言」をいただき、この実現に向けて国に対し働き掛けて参りました。
 この間、平成15年10月には、京都創生の取組を応援するために、国内外の有識者による「京都創生百人委員会」が梅原先生を代表世話人として結成されるなど、より大きな広がりを持って参りました。
 そして、昨年度からは、国の中央省庁の課長級職員の皆様と「日本の京都」研究会を開催し、日本の中の京都の役割や活用方策の研究を熱心に議論をいたしております。
 一方、昨年の11月市会においては全会派一致で「国家戦略としての京都創生」の実現を求める決議を議決いただきました。また、この5月には、伊吹文明先生をはじめとする地元選出国会議員の皆様の御尽力により、自民党・公明党の104名の国会議員の皆様によって「歴史的都市維持・再生議員連盟」が設立されたところであります。更に近日中には民主党の議員連盟も設立される予定となっており、京都創生の取組を進めていく上で、誠に心強い限りであります。
 しかしながら、京都創生を実現する真の主役は、京都人である我々自身です。今こそ、国レベルでの動きを追い風にして、愛する京都のために立ち上がり、危機に立ち向かう強い気概を示し、具体的な行動を興していかねばなりません。
 本フォーラムは、この京都を我が国の歴史文化の象徴として保全・再生・創造し、活用・発信する「京都創生」の実現に向け、京都の様々な分野にわたる方々が集い、自らが積極的に、景観の保全や文化の創造に取り組み、世界に誇る京都を市民の手で作りあげていくことを目指すものでございます。
 また、フォーラムの結成により会員が相互に協力し、活動の輪を広げることで、京都から、広く国の内外に京都創生の気運を高めていきたいと願っております。
 どうか、本フォーラムに御参画をいただいた皆様には、これまで以上に、それぞれの分野で積極的、自主的な京都創生の取組を推進していただくことをお願い致します。併せて、このフォーラムがより多くの皆様の賛同を得て、いよいよこれから多きなうねりとなることを期待しております。
 もちろん、京都市も、京都創生に向けて、全力を注いで参ります。本年6月に景観法が施行されましたが、京都市では、「時を超え光り輝く京都の景観づくり事業」として、この法律を総合的に活用した景観計画づくりに懸命に取り組んでいるところであります。また、京町家を保全、再生するために、秋には「京町家まちづくりファンド」を創設すべく、現在、準備を進めております。この他にも、電線の地中化など、精力的に様々な事業に取り組んで参らなければならないと思っております。
 最後に、本日改めて私自身、京都創生に全力を傾注して参る決意を表明させていただき、私の挨拶とさせていただきます。これからどうぞよろしくお願い申し上げます。

司会

 ありがとうございました。
 京都創生の推進に当たっては、国会議員の伊吹文明議員をはじめとする多くの皆様にお世話になっておりますが、本日の総会に当たりまして、御祝電をいただいておりますので時間の関係上、一部ですが御披露させていただきます。

「この度、多くの皆様の発起により、京都創生推進フォーラムが盛大に開催されますことを心からお祝い申し上げます。悠久の歴史と文化を誇るわが故郷「京都」の限りない発展に、このフォーラムが大きく寄与されんことを願い、皆様の御活躍をお祈りいたします。」

財務大臣 谷垣 禎一

 他に、自由民主党参議院議員西田吉宏様、民主党衆議院議員前原誠司様、京都信用金庫理事長粂田猛様からも頂戴しております。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、本フォーラムの設立に至りました、これまでの経過と規約案につきまして、京都創生推進フォーラム設立に向けて事務的な準備を行って参りました設立準備会を代表致しまして、京都市の上原総合企画局長から、報告、御提案させていただきます。

経過説明:京都市総合企画局長 上原 任

 それでは簡単に、本日の京都創生推進フォーラム設立に至ります経過につきまして、説明させていただきます。
 まず京都市が、京都創生の取組を始めたきっかけでございますが、平成14年6月に、日本建築学会の「京都の都市景観特別研究委員会」から「京都の都市景観の再生に関する提言」が、そして、平成14年7月に、京都経済同友会の「都市活性化委員会」から「京都の都市再生推進に向けての緊急提言」が、京都市に提示されました。
 これら2つの提言は、共に京都の持つ歴史的文化的な価値を国家的課題として守り活かすべきであるという内容のものでございました。
 これを受けて京都市では、梅原猛国際日本文化研究センター顧問を座長として、「京都創生懇談会」を設置し、平成15年6月17日に「国家戦略としての京都創生」の提言をいただきました。
 そして、京都市では、直ちに桝本京都市長を先頭に、国家戦略として京都創生に取り組むよう、国に積極的な働き掛けを行うとともに、冊子の発行やシンポジウムなど様々な活動を展開して参りました。
 また、平成15年10月には、これらの動きに賛同して、京都創生の実現を応援するために、全国の有識者からなる組織として、京都創生百人委員会も設立されました。
 一方、これらの運動を進める中で、各方面から、担い手である京都市民に、もっと理解の輪を広げて行かなければならないという声が出て参りました。
 そこで、京都市民の皆様と一緒に、京都創生について考えるため、昨年10月14日に祇園甲部歌舞練場で、京都創生推進フォーラム「世界における京都〜京都に見る日本的感性」を実施することとなりました。
 フォーラムを実施するに当たっては、オール京都での推進を、ということで、本日発起人として名を連ねていただいている、京都商工会議所、京都経済同友会、京都新聞社、大学コンソーシアム京都、京都市観光協会、京都市芸術文化協会などの諸団体、これに顧問参加としての京都創生百人委員会を加えたメンバーで実行委員会を結成し、検討を行いました。
 この検討の中で、京都創生の実現のためには、自主的かつ積極的に京都創生に取り組む市民や市民団体が活発に活動することができるよう、何らかの組織を設けて、その力を結集していく必要があることが、共通の認識となって参りました。
 そしてこの共通認識を受けて、10月14日に、祇園甲部歌舞練場で開催した京都創生推進フォーラムの当日に、パネリストの一人であった京都商工会議所の村田会頭より、自主的に京都創生に取り組む組織の設立が提起され、フォーラムに出席した市民の皆様からも、多くの賛同の声が寄せられました。
 そのため、このフォーラムの後、実行委員会のメンバーが中心となって、途中からは、京都府、平安建都千二百年記念協会、京都市景観・まちづくりセンターにも加わっていただいて、京都創生推進フォーラムの設立に向けた検討・準備を行ってまいりました。
 そして、この5月に設立準備会を開催し、本日お集まりの皆様に呼び掛けを行い、本日の設立を迎えることができました。以上が経過でございます。

 では、続いて「京都創生推進フォーラム規約(案)」について、御説明致します。お手元の資料を御覧ください。
 本規約案は、5月に開催した設立準備会で取りまとめたものです。参加の呼び掛けの際に同封致しましたので、既にお読みいただいていると存じますので簡単に御説明致します。
 まず、第1条がフォーラムの目的です。
 即ち、「京都創生推進フォーラムは、山紫水明の自然景観や歴史が香る美しい町並み、長年にわたり磨きぬかれた奥深い文化に恵まれた京都を、我が国の歴史文化の象徴として保全・再生・創造し、未来へ、そして世界へ発信することを目指す「京都創生」の取組に賛同する団体、企業、市民が集い、その実現に向けて、自らが積極的に取り組み、相互に協力し、活動の輪を広げることで、京都から、広く国内外に京都創生の気運を高めていくことを目的とする。」です。
 以下、第2条がフォーラムの構成で、本組織は、団体、企業及び個人で構成されます。
 第3条が会員の役割で、自ら積極的に活動を行っていただきます。
 第4条にございますように、本フォーラムには、会務を総理する代表及び代表を補佐する副代表をおきます。
 第5条にございますように、フォーラムの事業遂行に必要な事項について調整を行うために、運営委員会を置きます。また、本フォーラムには、顧問及びアドバイザーを置くことができます。
 第9条が総会で、毎年1回開催致します。
 以上が規約案でございますが、本日、皆様に御承認を賜り、規約としていきたいと考えております。簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。

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